情報に価値を乗せる
入社式の季節になりました。
新入社員は、研修やOJTを通して「報連相」の
大切さや実行のコツを教えられ、
「相手の立場に立って」実行せよ、
と耳が痛いほどに指導されます。
なぜか。
それは、自分が何を伝えたのかということよりも、
相手が情報を価値のあるものとして受け取ったか
どうかが大切だからです。
情報の価値を決める大きな要素は次の3つです。
1. 内容(量と質)
2. タイミング(適時性)
3. 伝わり方(受け止め方)
情報を伝えるためのコミュニケーションの3大手段は、
メール、電話、面会、ですね。
ここでは離れた状況でのコミュニケーション、つまり
難度の高い電話とメールに焦点を絞り、それぞれの
特徴を考えてみます。
電話は速報性が最大の特徴です。
また、伝えたい相手に確実に伝わります。
メールを送ったのに読んでない、というようなトラブルも
生じません。さらに、声の大きさや抑揚で喜び、怒り、必死
の想いといった感情が比較的ダイレクトに伝わってきます。
一方、複雑な内容を伝えるのには不向きです。
メールは、何と言っても送れる情報が豊富です。
数MBの添付ファイルを一度に複数宛先へ送信できます。
また、一度送っておけば、相手は好きな時に見ることができ
ますし、後で読み返すこともできます。
一方、メールで気持ちや感情を正しく伝えるのは、大変困難です。
加えて、書く時間があるだけに、冗長な文面となりがちです。
このようなメールの難しさを如実に物語るデータがあります。
「ビジネスメール実態調査2014(平成26年)」
(一般社団法人日本ビジネスメール協会)によると、
ビジネスメールで受信者が不快に感じた内容の上位4項目は、
「文章が曖昧」(37.7%)
「文章が失礼」(31.9%)
「文章が攻撃的」(21.8%)
「文章が冷たい」(17.9%)
となっています。
私たちは様々なコミュニケーション手段の特徴を理解し、
うまく使い分けることができているでしょうか。
相手が欲しい時に欲しい情報を伝えるのは基本中の基本です。
それに加えて、相手の情報の「受け止め方」を左右するような、
相手が置かれている状況や環境、単刀直入型かやんわり型か
といったスタイル、そもそも電話とメールのどちらを好むのか、
といったことまで細やかに配慮して初めて、「相手の立場に立った」、
つまり相手にとって価値のある情報を伝えることができるのではない
でしょうか。
だからこそ、第三のコミュニケーション手段の出番です。
大切なパートナーとは定期的なFace to Faceの機会を作り、
お互いの特徴を知っておくことが欠かせませんね。
- 2015/04/02
- コンサルティング
- 投稿者:講師 河野 貴史