大企業における改革マネジメントの難しさ
マネジメントとは不思議なものだ。
モノもカネもヒトが作り出す。
だからピープルマネジメントは
経営の中核課題だ。
しかし、大企業になればなるほど、
ピープルマネジメントは至難の業になる。
基本的に集団が大きくなるほど、人が集まり、
猛烈な統制パワーが必要になる。
しかしパワーで統制すれば、自律性は下がり、
指示命令に従って動く部下ばかりになる。
これが難しい。
さらに、誰が何をやっているのか分からない状態にもなる。
仮に不正を見た人、知った人がいても「見ざる聞かざる言わざる」になる。
「会社が大きいから大丈夫」という安心感があるからだ。
そうなれば、当然、経営の耳にまで現場での問題など入ってこない。
三菱自動車をはじめ、過去に不正が発覚した超大手企業の多くは、この状態に陥る。
したがって、大企業は
「風通しがよく統制が取れている」
という二律背反的な葛藤を乗り越える必要がある。
同時に大企業であっても当然一人ひとりが自律して動いて欲しいと
経営者は願っているが、これは集団心理の特性からすると相当な企業努力が必要となる。
社会的手抜き現象(リンゲルマン現象)というものがある。
20世紀初頭のフランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンは
綱引き、荷車を引く、石臼を回すなどの集団作業時の
一人あたりのパフォーマンスを数値化した。
実験の結果、1人の時の力の量を100%とした場合
2人の場合は93%
3人では85%
4人では77%
5人では70%
6人では63%
7人では56%
8人では49%
と1人あたりの力の量は低下した。
3人では85%
4人では77%
5人では70%
6人では63%
7人では56%
8人では49%
と1人あたりの力の量は低下した。
リンゲルマンは集団が大きくなるほど集団全体のアウトプットと
個人のアウトプットの合計の差は拡大する現象を明らかにした。
簡単にいえば、大企業のように巨大化すると、
・指示命令によって動く
・指示命令がないときに動かなくても支障がない
・一人くらい手を抜いても、何をしても分かりはしない
・自分以外の人が頑張ってくれる
・何百億も利益が出ているから会社は揺るがない
という無意識の集団心理が、当たり前のように発生するのだ。
ある意味、これが人間の集団になった時の自然な心理である。
これを改善するために経営者は、
これを改善するために経営者は、
指針、規律、コンプライアンスを発表したり、
リーダーシップやマネジメント研修を従業員に受けさせたりと、
手を変え、品を変え意識の新陳代謝を行っているのだ。
リーダーシップやマネジメント研修を従業員に受けさせたりと、
手を変え、品を変え意識の新陳代謝を行っているのだ。
やはり人数が大きくなるほど改革マネジメントは難しくなる。
だからといって、中小企業のマネジメメントが簡単であるとは決しても思わないが。
- 2016/05/20
- 社長コラム
- 投稿者:葛西 伸一