企業の人材育成担当者がeラーニングを過大評価してはいけない理由
現在、弊社では “eラーニング” による
研修サービスの準備を着々とすすめています。
「え?!タイトルとちゃうやん!
eラーニング評価しとるやん!」
と思うでしょう。
確かに、そう聞こえますよね。
しかし厳密に言えば、弊社が導入しよう
としているものは
eラーニングというよりも、「e事前学習」です。
つまり、あくまでも集合またはオンラインでの研修(本研修)を軸としている点は変わりません。
受講者が丸一日を研修に時間を割くことへの負担を軽減しながらも学習効果を高めるツールとして、
eラーニングを活用した「e事前学習」を実現しようとしています。
当社が想定している研修(学習)の流れ
e事前学習 ⇒(当日の)本研修 → e事後課題
※ここでの “e” は、eラーニングにて実施する意味で使用していますが、
その内容は、本研修に沿った動画・テキスト・チェックテストが用意されている為、
本研修の効果をより高めることが可能となります。
近年、働き方改革で残業規制が厳しくなり、“仕事は増えるが人は増えない”
厳しい労働環境が続いておりますが、学びの継続は必要不可欠です。
そこで、そのような時代であっても、上記のような組み合わせにすることで、
効果的に学べる仕組みを提供していきたいと考えております。
もちろん、COVID-19の感染拡大をきっかけにオンラインでの学習環境が、
各企業で整ってきたという背景もあります。
しかし、ここで1つ疑問が生まれます。
そこまで効率的な学習を目指すなら、いっそのこと
すべてeラーニングにしてしまえばよいのでは?
答えは「いいえ」です。
残念ながらそうはなりませんし、その考え方は大失敗を招く可能性があります。
なぜならeラーニングは手段であり、目的ではないからです。
ポイントは「本業が多忙な人こそ、半強制的にでも本研修に参加させることが重要」
ですので、それを度外視して人材育成責任者の方が、
「現場のみなさんは、本業がとても
多忙な方々なので、全てをeラーニングにして、
効率的に学んでいただきたいと思います。」
といういうのはロジックがおかしいですし、効率を超えて“手抜き”の可能性すらあります。
こんな従業員は、御社には、一体何パーセントいるのでしょうか?
「本業がとても多忙だけれども、自主的に時間を作って、自主的・計画的に学び、
全ての工程を期日内に終了し、様々な気づきを得て、さらには自分の仕事の応用に繋げられる」
おそらく、ほんの一握りの方でしょう。
従って、冒頭に述べた通り
「本研修の受講負担を軽減しながらも、学習効果を高めるツールとして、
事前(事後)学習の際に、eラーニングを活用する。」
というのが現時点での解だと我々は考えます。
一方、eラーニングを過信して、eラーニングの比率を極端に上げすぎてしまうと
以下のような悪循環に陥ることが想像るのです。
・eラーニングとはいえ、人材育成担当者が準備・管理業務を日々行う必要がある。
・受講者たちは忙しさにかまけて、eラーニングのことを忘れ、あるいは後回しにして、進捗が著しく悪くなる。
・焦った受講者は期限直前に慌てて学習する。その為早送りで動画視聴したり、他の仕事をしながら動画を流すだけになる。
・何とか期限前に詰め込んだとしても、受講者の頭の中には入っていない。あるいはすぐに忘れる。
・進捗状況が思わしくない場合、人材育成担当者の督促工数が発生する。
もちろん、eラーニングで知識をインプットすることは有用ですので、活用すべき点は多々あります。
ただし、研修のほとんどをeラーニングで完結できるほど人は自律的ではない。ということです。
リアル(集合・オンライン)研修の良い点は、生講義のライブ感と緊張感、仲間からの刺激、聴いたり、話したりすることにより考えが整理でき、腹落ちする。
やはり、これらは、人と人との接触効果によって得られるものと、私たちは確信しています。
決して、eラーニングを過大評価せずに、正しく活用しながら、学びを深めていきましょう。
- 2022/02/01
- 社長コラム
- 投稿者:葛西 伸一