ラテラルシンキング④ ~ゼロからアイデアを生み出す!~ 【最終回】
前回6月のコラムから間が空いて
夏を飛び越して季節は秋になりました。
じっくり思考に取り組むにはいい季節ですね。
さて前回は、ラテラルシンキングのツールと実施事例、
アイデアの生み出し方についてお話ししました。
最終回の今回は生み出されたアイデアを具体的に
どのように活用していくのかを考えていきたいと思います。
アイデアの発散から収束への移行
アイデアを発散させた後は、収束が不可欠です。
実現に向けて考え抜くステージに移行し、いよいよ
ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの出番です。
優先順位付けと絞り込み、戦略的視点に立った商品化イメージ
の立案(SWOT、3C、4P等フレームワークの活用)
技術であれば対象課題への効果定量化などを行いながら
実効性のある形へと、アイデアに肉付けしていきます。
アイデア創造の効率を高める工夫
Christensen (1)らは、破壊的イノベーションに必要な下記5つの
力について体系的に論じました。
ラテラルシンキングへの取り組み方として、非常に示唆的です。
①Associating 関連づける力(掛け算力)
②Questioning 質問力
③Observing 観察力
④Networking ネットワーク力
⑤Experimenting 実験力
一方、このような意図的思考とは無関係に、インプットした情報が
突然の化学反応を起こして閃く瞬間があります。
仕事を離れストレスから解放された時、帰宅中の電車で、
あるいは自宅でリラックスした場面で、ふっとアイデアを思い
ついた経験はありませんか。
世の古今東西を問わず、創造性を呼び起こす環境が下記のように
提唱されていることも興味深いです。
積極的にオフタイムを作ることの大切さを教えてくれます。
【三上】(「帰田録」欧陽脩(オウヤンシュ):宋の政治家)
馬上(ばじょう)
枕上(ちんじょう)
厠上(しじょう)
【4B】(2)
Bathroom(お風呂やトイレ)
Bar(静かなバー、カフェなど)
Bed(就寝時)
Bus(バス、電車などの車内)
ところで、人は忘れる生き物です。
メモを常備し、リラックスし過ぎて忘れる前に書き留める習慣を
つけておきましょう。
おわりに
研究開発でも、アイデアの創造(発散)とロジックによる
追究・検証(収束)の両輪が必要なことは言うまでもありません。
天才でないことを嘆くのではなく、チームワークで文殊の知恵を
生み出しましょう。「一に量、二に質」、ラテラルシンキング実践のキーワードです。
さて、昨年12月にスタートした本コラムの冒頭の
「オレンジの問い」に対して、再度お聞きします。
あなたなら何と答えますか?
13個のオレンジを友達3人で、
けんかにならないよう公平に
分けたいと思います。
あなたならどうしますか?
ラテラルシンキングで考えてみてください。
「タネ」明かしはしないでおきましょう。
全ての答えが正解ですから。
参考文献
(1)クレイトン・クリステンセン / ジェフリー・ダイアー / ハル・グレガーセン, イノベーションのDNA,翔泳社,47(2012)
(2)フレドリック・ヘレーン,スウェーデン式 アイデア・ブック,ダイヤモンド社,63(2005)
- 2022/09/29
- コンサルティング
- 投稿者:講師 河野 貴史